都築学園グループ

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ご挨拶Greeting

第49回日本経済大学入学式および第42回福岡こども短期大学入学式式辞

2016.04.07

春ランマンの今日の善き日、ここに日本経済大学第49回、福岡こども短期大学第42回の入学式を挙行致しましたところ、公私ご多用の中にも係わりませず、ご遠路のところ万障お繰り合わせ頂きまして、多くの御来賓の皆様方そして保護者の皆さま方のご臨席を頂きまして、かくも厳粛かつ和やかに入学式を挙行できますことは、新入生にとりましては勿論のこと大学関係者一同にとりましても、この上ない喜びでございまして、高い所からではございますが、厚く御礼申し上げます。

新入生の皆さん、入学おめでとうございます

歳時記に「北窓開く」という春の季語がございます。厳しい北風を防ぐ為に閉じていた北側の窓を開いて、明るい春の風を入れる時という季語ですが、厳しい大学受験を終えて、入学の日を向けた皆さんは、まさにサクラサクの気持ちではなかろうかと存じます。

学校法人都築学園グループは本年創立六十周年を迎えています。創立者は国語学・国史学の泰斗であられました都築賴助先生と戦後日本全国初の唯一の県立普通高校の女性校長として抜擢され、多くの足跡を残されました都築貞枝先生の両先生によって、昭和31年1956年に福岡第一高等学校が開かれたのが始まりです。
「個性の伸展による人生練磨」を建学の精神として北は札幌から埼玉、渋谷、御茶の水、上野、新宿、池袋、立川、横浜、名古屋、大阪、神戸、姫路、広島、福岡、鹿児島、の十六の都道府県にまたがる幼児教育、初等教育、中等教育、高等教育と各校教育機関をネットワークし、医療系分野、福祉系分野、工業系分野、教育系分野そしてグローバル教育にと六十年にわたり、一貫した建学の精神で国内での充実発展に務めております。

海外とは、本日御来賓のオックスフォード大学、ケンブリッジ大学、アメリカ ハーバード大学、デュケイン大学、ハワイ大学、オーストラリア ビーコンヒルズ、メルボルン大学、中国 大連大学、中国医科薬科大学、韓国 東西大学、慶熙大学などをはじめ多くの大学との学術交流、文化交流、そして留学生の交流を推進しております。
特に、日本経済大学の留学生受け入れ数は、毎年早稲田につぎ、二番目にランキングされていますが、それはキャンパスのある福岡、神戸、渋谷のいずれもが古くから国際都市そして多くの外国人受け入れの窓口となり繁栄してきました。そのような土地柄も、留学生に選ばれてきた理由の一つだと考えております。

ここ筑紫大宰府は、遠の朝廷として、古代よりアジアの政治、外交、防衛そして又教育の要衝の地であり、大宰府政庁跡、水城跡、学業院跡の遺跡を初め、大宰府天満宮、九州国立博物館などそして明治天皇行幸の地、二日市温泉など歴史と由緒ある学園都市でございます。

このキャンパス用地は、今から五十年以上前に前総長 都築泰寿先生によって開発されました。西洋史専門の歴史学者であった前総長は、アメリカ ブリガムヤング大学院留学時代に、欧州各国の大学を視察し、歴史ある名門大学がいずれも、広大なキャンパスの中に、色々な学舎、研究施設が点在として配されている状況を視察した際に、すでに開校していた第一薬科大学、第一高校のキャンパスが手狭であったことを痛感し、帰国後に都築学園の新居地を求めて、自らの足で、方々を探索すること三年、草生い茂る筑紫野の田畑が一面に広がるこの由緒ある土地と出会いました。

天地 悠久 我ここにあり

文化の根幹は、大同調和と神技にあり青年は、次代創造の源泉である。
この地、この丘を選んで、学園を招き、人類永遠の伸展の礎を築く

昭和四十二年一月三十一日
創建者 都築 泰寿


大宰府天満宮の参拝客がシーズンになると訪れる二日市は当時単線であった西鉄急行電車が時折から抜ける閑散としたところでしたが、この丘との運命的な出会いが今日の都築学園グループの端緒となりました。
全国に展開されております都築学園グループは、“個性の伸展による人生練磨”の教育方針により、人それぞれの個性の気づきから始まり、その進展を生涯にわたって促すものですが、この個性観は個人の個性に止まらず、さらには住んでいる町の個性、地域の個性、そしてグローバル化の中での日本固有の個性(アイデンティティの認識)へと視野を広げるものでございます。

国難ともいわれた東日本大震災に見舞われた五年その図らずも露呈された被災地の方の冷静な判断、公徳心にあふれた秩序ある行動、そして日本国中が一体となり心を合わせて救援、支援に助け合う姿は、一部始終がメディアやネットを通して、世界中に伝えられました。被災地の普通の人々のとった普通の行動、有様は他国の人々にはひとり一人がキリストにさえ見えたと評されました。
名もない町工場が操業停止に追い込まれると、世界中にあるブランドメーカーがサプライチェーンを喪失し、生産をストップせざるを得ない事態になりました。高品質の日本製品に代わるものが、他になかったからになりません。
東日本大震災は日常、私たちが気づくことが少ない、日本の持つ個性、国有の文化、文明、アイデンティティとして優れている特徴が何なのかを改めて知らされるキッカケとなりました。日本固有の文明を、今の若い世代の皆さん、そして未来を担う子供達、さらには世界の人々に改めて知らせる機関が必要ではないだろうかとの使命感から、私は昨夏、東京渋谷に「日本文明研究所」を設立致しました。
所長には前東京都知事であり、作家の猪瀬直樹さんを招聘し、各界からのゲストをお招きし、グローバルな視点から日本の過去、現在、そして未来を検証、模索し、未来への新しい道を提言、発信するシンクタンクがスタート致しました。

都築学園グループの八つの大学学術研究を反映して、四つの領域の柱を設けました。

1.日本固有の思想、美学、哲学、倫理に関する領域

和の精神、大和ごころ、武士道、文武両道など三つ子の魂百までという幼児教育思想

2.日本固有の経済、経営に関する領域

“老舗”と言われる100年、200年、300年、そして1000年と続く企業はダントツ世界一の数を誇り、世界の追随を許しません。また、自己・自国の利益のみを追求しない“公益”資本主義ともいわれる道徳心のある会社経営の在り方も日本の特徴です。

3.日本固有の医療の領域

漢方は、個人差に応じた、まさにテーラーメイド医療であり、医食同源ともいえる和食は薬膳料理の代表で、美味しく、美しく、ヘルシーな食として世界の評価を受けています。

4.日本固有の技術力、工業力の領域

英国で開発されたワットの蒸気機関車は改良、改善、イノベーション、リノベーションを重ね、現代の新幹線として英国はじめ多くの国々で安心、安全な鉄道として普及しています。また、地域に眠っている様々な伝統的な農業、漁業、林業などのものづくりの技術は職人の魂のこもったものであり、レベルの高さは世界の驚異となっています。

放射線炭素技術の進歩により古代文明に、新たな光があてられ、かつては世界四大文明といわれていた中に日本文明が加わり、世界五大文明と捉え直されるようになって参りました。
日本の文明に対して、古代だけではなく、現代文明に対しても、これからの日本人自身は認識も浅く、また敗戦後の教育の現場では、なおざりにされて来た感が否めません。
若い世代の皆さんは、学生として自国に自信と誇りを取り戻し、日本文明の未来への可能性や役割を、また留学生として日本を学んでいる各国の留学生の皆さんも、混迷と争いを続ける地球の未来へ新たな希望と救いとなる道を日本で模索して頂きたいと思っています。
皆さんが学ばれる、経済学、経営学、そして教育学は、道は違っていても日本の未来そして世界の未来へと収斂されていき、日本と世界の人々の幸福につながっていることを誇りに思い、明日からの勉学に励んで下さい。

平成二十八年四月七日
都築育英学園 学園総長 都築 仁子



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